平成19年8月1日記
仏教はさまざまの流れに分かれて、インドからアジア各地に広がっていきました。お釈迦様が亡くなられて約百年後、インドでは、教団は二つに分かれ、その後分裂を繰り返して20ほどの部派が生まれたと伝えられています。
「空」思想と空の実践者としての「菩薩」が大乗仏教の根幹であり、「空」を説き、大乗仏教のはじまりとなったのが、般若経と呼ばれる一群の経典です。
『八千頌般若経』という最古の般若経は、西暦50年頃に編纂されたと考えられていますが、その中に次のように説かれています。
この知恵の完成(の教え)を書きしるして書物のかたちとし、供養をまず行なって安置し、供養を続ける良家の男子や女子があるならば、たとえ(それを)習わず、覚えず、唱えず、理解せず、宣布せず、説かず、述べず、教示せず、読誦しなくても、この良家の男子や女子は、かの人々よりももっと多くの福徳を得るのである。(梶山雄一訳大乗仏典2『八千頌般若経』Ⅰ)
般若経を書きしるす、つまり「写経」することは、仏陀の舎利を納めた塔を建てるよりも、多くの幸福や利益(りやく)を得られるというのです。
現代においては、印刷技術が高度に発達し、電子的な形でも記録できるようになっています。しかし、宗教的な実践としては、意義は失われてはいないと思います。一字一字心を込めて書写することは、そのお経を記憶し、理解するには最も適したやり方です。また、写経は心を落ち着け、同時に集中して行わなければうまくできません。
気に入った経典を写されるのが一番ですが、いくつかの経典を紹介いたします。
手本の上に薄い紙を載せ、透けて見える文字を上からなぞって書いていきます。手本は文房具店で手に入ります。経文をすべて写し終わったら、「為書き」と年月日、氏名を書きます。「為書き」というのは、写経したことによって実現したい願いを書くことです。
墨、すずり、書道用の小筆、下敷きを用意します。下敷きを敷き、その上に手本、薄紙(写経用紙)を載せて、手本をなぞります。一字一字、心を落ち着け、丁寧に写しましょう。為書き、年月日、氏名を書いて終わりです。
面倒くさくてやらないよりは、とにかく写経を実際に行うことが重要ですから、ご自身のやりやすいように工夫してください。
完成した写経は、納経志納金を添えてお寺に納めましょう。宝光寺でも受け付けます。当面は、本堂の須弥壇の上でお預かりしますが、将来は納経志納金を原資にして経蔵を修復し、かつて一切経の納められていた経蔵内部の輪蔵にお納めできればと考えております。